【Flutter】​Flowで実現!スムーズなUI変更

対象者

  • Flutterを使用してモバイルアプリを開発しているが、Flowウィジェットについて詳しくないソフトウェアエンジニア
  • 自己向上心が強く、短期間で新しいスキルを身につけてプロジェクトに活かしたいと考えている方
  • ユーザーインタラクションやアプリのパフォーマンスを向上させるために、デザインやアーキテクチャについても学びたいと思っている方

はじめに

Flutterを使ってアプリ開発をしているあなた、Flowウィジェットのポテンシャルを最大限に活かしていますか?アプリのユーザーインタラクションをよりスムーズにし、パフォーマンスを向上させるためには、Flowウィジェットの使い方をマスターすることが欠かせません。しかし、Flowウィジェットは一見複雑に見えるかもしれません。どのようにセットアップし、カスタマイズするのか、効果的なアニメーションの追加方法は?これらの疑問に答えるために、この記事ではFlowウィジェットの基本から応用まで、わかりやすく解説していきます。

Flow というのは、日本語で「流れ」や「流動」という意味です。プログラムの世界では一般的に「データや処理の流れ」を示します。Flutterにおいては、複雑なレイアウトやアニメーションを効率的に描画するウィジェットです。そのため、パフォーマンスを維持しながら柔軟なレイアウト変更やアニメーションを実現することができます。
実際のアプリとしては、画像ギャラリーやアイテムのリスト表示といったケースにおいて、ユーザーの操作に応じてアイテムの位置やサイズを動的に変更するというような機能を実現することができます。

この記事を読み終えたとき、あなたはFlowウィジェットを使って、より洗練されたアプリを開発することができるようになっているでしょう。ユーザーにとって快適なアプリ体験を提供することで、アプリの評価が上がり、ダウンロード数が増加するかもしれません。それでは、Flutterでのアプリ開発をより楽しく、効果的にするために、Flowウィジェットの魅力に迫っていきましょう!

Flowとは

Flowの基本的な概念

FlowはFlutterで提供されているウィジェットの一つで、複数の子ウィジェットを効率的に配置し、アニメーションをコーディネートするための強力なツールです。Flowウィジェットは、FlowDelegateクラスを通じて子ウィジェットの描画方法を制御し、特定のロジックに基づいて子ウィジェットのサイズ調整や位置決めを行います。これにより、開発者は複雑なレイアウトや動的なアニメーションを簡単に実装することができます。

Flowの主な利点

Flowウィジェットの主な利点はその柔軟性とパフォーマンスにあります。従来のレイアウトウィジェットと比較して、Flowは特にアニメーションや動的なレイアウト変更が頻繁に行われるシーンでその真価を発揮します。子ウィジェットの位置やサイズを効率的に変更できるため、スムーズでパフォーマンスの高いアニメーションを実現することが可能です。また、shouldRepaintメソッドを適切に実装することで、必要のない再描画を防ぎ、アプリケーションのパフォーマンスをさらに向上させることができます。

このように、Flowウィジェットはその柔軟性と高いパフォーマンスにより、複雑なUIやアニメーションを必要とするアプリケーション開発において非常に有効なツールとなります。

Flowの使用方法

Flowウィジェットを使用する際には、適切なセットアップとFlowDelegateクラスの実装が必要です。これにより、柔軟かつ効率的なレイアウトとアニメーションを実現することができます。

Flowウィジェットのセットアップ

Flowウィジェットをセットアップする際には、まずウィジェットツリーにFlowウィジェットを追加し、その子ウィジェットとしてレイアウトしたいウィジェットをリスト形式で指定します。ここで重要なのは、Flowウィジェット自体にはサイズがないため、子ウィジェットのサイズと位置はFlowDelegateを通じて制御されるという点です。

Flow(
  delegate: CustomFlowDelegate(),
  children: <Widget>[
    // ここに子ウィジェットを追加
  ],
)

FlowDelegateクラスの実装

FlowDelegateクラスを継承したカスタムクラスを作成し、paintChildrenメソッドをオーバーライドして子ウィジェットの描画方法を定義します。このメソッド内で、paintChildメソッドを使用して各子ウィジェットの位置と変換を指定します。また、shouldRepaintメソッドをオーバーライドして、ウィジェットの再描画が必要かどうかをFlutterに通知します。

class CustomFlowDelegate extends FlowDelegate {
  @override
  void paintChildren(FlowPaintingContext context) {
    // ここで子ウィジェットの描画を制御
  }

  @override
  bool shouldRepaint(covariant FlowDelegate oldDelegate) {
    // 再描画が必要かどうかを返す
    return true;
  }
}

このセットアップとFlowDelegateクラスの実装を通じて、Flowウィジェットを使用する準備が整います。これにより、複雑なレイアウトやアニメーションを効率的に実現することが可能となり、アプリケーションのユーザーインターフェースをより魅力的にすることができます。

Flowのアニメーション

Flowウィジェットを使用することで、アプリケーションにダイナミックで魅力的なアニメーションを簡単に追加することができます。これにより、ユーザーのエンゲージメントを高め、アプリケーションのユーザー体験を向上させることが可能です。

アニメーションの追加方法

アニメーションをFlowウィジェットに追加するためには、まずAnimationControllerを作成し、それを用いてアニメーションの挙動を制御します。次に、FlowDelegateクラスを継承したカスタムクラス内で、このアニメーションを使用して子ウィジェットの位置やサイズを動的に変更します。

AnimationController _controller = AnimationController(
  duration: const Duration(seconds: 2),
  vsync: this,
);

@override
Widget build(BuildContext context) {
  return Flow(
    delegate: CustomFlowDelegate(_controller),
    children: <Widget>[
      // 子ウィジェット
    ],
  );
}

カスタムエフェクトの作成

カスタムクラス内のpaintChildrenメソッドを使用して、アニメーションに基づいて各子ウィジェットの位置やサイズを変更することで、カスタムエフェクトを作成できます。例えば、子ウィジェットを円形に配置するアニメーションや、特定のイベントが発生したときに子ウィジェットを拡大縮小するアニメーションなど、様々なエフェクトを実装することが可能です。

class CustomFlowDelegate extends FlowDelegate {
  final Animation<double> animation;

  CustomFlowDelegate(this.animation) : super(repaint: animation);

  @override
  void paintChildren(FlowPaintingContext context) {
    // アニメーションに基づいて子ウィジェットの位置やサイズを変更
  }

  @override
  bool shouldRepaint(covariant CustomFlowDelegate oldDelegate) {
    return animation != oldDelegate.animation;
  }
}

このように、Flowウィジェットとアニメーションを組み合わせることで、アプリケーションにインタラクティブで魅力的なエフェクトを簡単に追加することができます。これにより、ユーザーの注意を引きつけ、アプリケーションの使用感を向上させることが期待できます。

Flowの描画制御

Flowウィジェットにおける描画制御は、主にpaintChildrenメソッドを通じて行われます。このメソッドを適切に利用することで、子ウィジェットの配置と変換を柔軟に制御することが可能となります。

paintChildrenメソッドの利用

paintChildrenメソッドは、FlowDelegateクラス内でオーバーライドされ、子ウィジェットの描画方法を定義します。このメソッド内で、paintChild関数を使用して各子ウィジェットの位置や変換を指定することができます。このプロセスは、アプリケーションのパフォーマンスに直接影響を与えるため、効率的な描画が求められます。

@override
void paintChildren(FlowPaintingContext context) {
  for (int i = 0; i < context.childCount; ++i) {
    context.paintChild(i, transform: Matrix4.translationValues(x, y, 0));
  }
}

子ウィジェットの配置とアニメーション

paintChildrenメソッドを利用することで、子ウィジェットの配置とアニメーションを自由に制御することができます。例えば、子ウィジェットを横一列に並べ、アニメーションを適用してスライドさせることが可能です。これにより、ユーザーインターフェースをよりダイナミックで魅力的なものにすることができます。

@override
void paintChildren(FlowPaintingContext context) {
  double dx = 0.0;
  for (int i = 0; i < context.childCount; ++i) {
    context.paintChild(
      i,
      transform: Matrix4.translationValues(dx * controller.value, 0, 0),
    );
    dx += context.getChildSize(i)!.width + 10;
  }
}

このコード例では、paintChildrenメソッドを利用して、子ウィジェットを横一列に配置し、controller.valueを使用してアニメーションを適用しています。FloatingActionButtonを押すことでアニメーションが開始され、子ウィジェットが横にスライドします。

このように、FlowウィジェットとAnimationControllerを組み合わせることで、アプリケーションのユーザーインターフェースをより魅力的でインタラクティブなものにすることが可能となり、ユーザーのエンゲージメントを高めることが期待できます。

Flowの注意点

Flowウィジェットを使用する際には、パフォーマンスと正確な描画を確保するためにいくつかの注意点があります。特にshouldRepaintメソッドの実装とウィジェットツリーへのアニメーションの提供に注意が必要です。

shouldRepaintメソッドの実装

shouldRepaintメソッドは、ウィジェットが再描画を必要とするかどうかをFlutterフレームワークに通知する役割を果たします。このメソッドを適切に実装することで、不要な再描画を防ぎ、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。

@override
bool shouldRepaint(covariant CustomFlowDelegate oldDelegate) {
  // 再描画が必要な条件を記述
  return oldDelegate.someValue != someValue;
}

ウィジェットツリーへのアニメーションの提供

Flowウィジェット内でアニメーションをスムーズに実行するためには、ウィジェットツリー全体にアニメーションを提供することが重要です。これにより、アニメーション中のウィジェットの状態が正確に保持され、期待通りの動作を実現することができます。

return AnimatedBuilder(
  animation: _controller,
  builder: (context, child) {
    return Flow(
      delegate: CustomFlowDelegate(_controller.value),
      children: <Widget>[
        // 子ウィジェット
      ],
    );
  },
);

結論として、Flowウィジェットを使用する際にはshouldRepaintメソッドの実装とウィジェットツリーへのアニメーションの提供に注意を払うことが重要です。これにより、アプリケーションのパフォーマンスを最適化し、ユーザーに快適な体験を提供することができます。

Q&A

Q1: Flowウィジェットの主な特徴は何ですか?

Flowウィジェットの主な特徴はその柔軟性とダイナミックなレイアウトの提供能力にあります。非線形かつ動的な子ウィジェットの配置が可能であり、FlowDelegateクラスを通じて子ウィジェットのサイズや位置を柔軟に調整することができます。

Q2: Flowウィジェットを使用する際の利点は何ですか?

Flowウィジェットを使用することで、開発者はアプリケーションのニーズに応じて様々な形状やスタイルのレイアウトを簡単に作成することができます。また、アニメーションと組み合わせることで、ユーザーインタラクションに応じて動的にレイアウトを変更し、ユーザーにとってより魅力的でインタラクティブなアプリケーションを提供することが可能です。

Q3: Flowウィジェットを使用する際の注意点は何ですか?

shouldRepaintメソッドの実装に注意が必要であり、ウィジェットツリーへのアニメーション提供も適切に行う必要があります。これらに注意を払うことで、パフォーマンスの低下を防ぎながら、効果的にFlowウィジェットを使用することができます。

まとめ

この記事を通して、読者の皆さんはFlutterのFlowウィジェットについて深く理解しました。Flowウィジェットはその柔軟性とダイナミックなレイアウトの提供により、アプリケーション開発をより豊かで魅力的なものにすることができる強力なツールです。特に、非線形かつ動的な子ウィジェットの配置が可能であり、FlowDelegateクラスを通じてサイズや位置を柔軟に調整できる点が大きな特徴です。

また、アニメーションとの組み合わせにより、ユーザーインタラクションに応じて動的にレイアウトを変更することが可能であり、これによりユーザーにとってより魅力的でインタラクティブなアプリケーションを提供できます。しかし、shouldRepaintメソッドの実装やウィジェットツリーへのアニメーションの提供には注意が必要です。

以下は、この記事で学んだ重要なポイントをまとめたものです。

  • Flowウィジェットは、非線形かつ動的な子ウィジェットの配置が可能
  • FlowDelegateクラスを通じて子ウィジェットのサイズや位置を柔軟に調整できる
  • アニメーションと組み合わせることで、動的なレイアウト変更が可能
  • shouldRepaintメソッドの実装やウィジェットツリーへのアニメーション提供に注意が必要

これらのポイントを押さえることで、読者の皆さんはFlutterでより魅力的なアプリケーションを開発するための一歩を踏み出すことができるでしょう。

参考

ソース(main.dartにコピペして動作確認用)

直線的に配置

import 'package:flutter/material.dart';

void main() {
  runApp(MyApp());
}

class MyApp extends StatelessWidget {
  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return MaterialApp(
      title: 'Flutter Flow Demo',
      home: MyHomePage(),
    );
  }
}

class MyHomePage extends StatefulWidget {
  @override
  _MyHomePageState createState() => _MyHomePageState();
}

class _MyHomePageState extends State<MyHomePage>
    with SingleTickerProviderStateMixin {
  late final _controller = AnimationController(
    duration: const Duration(milliseconds: 300),
    vsync: this,
  );

  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return Scaffold(
      appBar: AppBar(
        title: Text('Flutter Flow Demo'),
      ),
      body: Flow(
        delegate: MyFlowDelegate(_controller),
        children: <Widget>[
          Container(width: 80, height: 80, color: Colors.red),
          Container(width: 80, height: 80, color: Colors.green),
          Container(width: 80, height: 80, color: Colors.blue),
          Container(width: 80, height: 80, color: Colors.yellow),
        ],
      ),
      floatingActionButton: FloatingActionButton(
        onPressed: () {
          if (_controller.isCompleted) {
            _controller.reverse();
          } else {
            _controller.forward();
          }
        },
        child: const Icon(Icons.play_arrow),
      ),
    );
  }
}

class MyFlowDelegate extends FlowDelegate {
  MyFlowDelegate(this.controller) : super(repaint: controller);

  final Animation<double> controller;

  @override
  void paintChildren(FlowPaintingContext context) {
    double dx = 0.0;
    for (int i = 0; i < context.childCount; ++i) {
      context.paintChild(
        i,
        transform: Matrix4.translationValues(dx * controller.value, 0, 0),
      );
      dx += context.getChildSize(i)!.width + 10;
    }
  }

  @override
  bool shouldRepaint(covariant MyFlowDelegate oldDelegate) {
    return controller != oldDelegate.controller;
  }
}

半丸に配置

import 'package:flutter/material.dart';
import 'dart:math' as math;

void main() {
  runApp(MyApp());
}

class MyApp extends StatelessWidget {
  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return MaterialApp(
      home: Scaffold(
        appBar: AppBar(title: Text('Flow Widget Example')),
        floatingActionButton: FlowWidgetExample(),
      ),
    );
  }
}

class FlowWidgetExample extends StatefulWidget {
  const FlowWidgetExample({super.key});

  @override
  _FlowWidgetExampleState createState() => _FlowWidgetExampleState();
}

class _FlowWidgetExampleState extends State<FlowWidgetExample>
    with SingleTickerProviderStateMixin {
  final icons = [
    Icons.search,
    Icons.settings,
    Icons.bed,
    Icons.phone,
    Icons.email
  ];

  late final _controller = AnimationController(
    duration: const Duration(milliseconds: 100),
    vsync: this,
  );

  @override
  void dispose() {
    _controller.dispose();
    super.dispose();
  }

  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return Flow(
      delegate: FlowMenuDelegate(_controller),
      children: <Widget>[
        buildItem(
          Icons.menu,
          () {
            if (_controller.isCompleted) {
              _controller.reverse();
            } else {
              _controller.forward();
            }
          },
        ),
        ...icons
            .map((icon) => buildItem(icon, () => print(icon.toString())))
            .toList(),
      ],
    );
  }

  Widget buildItem(IconData icon, void Function() onPressed) {
    return FilledButton(
      onPressed: onPressed,
      style: FilledButton.styleFrom(
        shape: const CircleBorder(),
      ),
      child: Padding(
        padding: const EdgeInsets.all(16.0),
        child: Icon(icon),
      ),
    );
  }
}

class FlowMenuDelegate extends FlowDelegate {
  static const buttonSize = 56.0;
  static const margin = 8.0;

  final Animation<double> controller;

  FlowMenuDelegate(this.controller) : super(repaint: controller);

  @override
  void paintChildren(FlowPaintingContext context) {
    final size = context.size;

    // 画面中央
    final double xStart = size.width / 2 - buttonSize / 2;

    // 画面の下の方
    final double yStart = size.height - buttonSize;

    for (int i = context.childCount - 1; i >= 0; i--) {
      final childSize = context.getChildSize(i)!.width;
      final dx =
          i == 0 ? 0 : (childSize + margin) * (math.cos(math.pi * (i - 1) / 4));
      final dy =
          i == 0 ? 0 : (childSize + margin) * (math.sin(math.pi * (i - 1) / 4));
      final x = xStart + dx * controller.value;
      final y = yStart - dy * controller.value;
      context.paintChild(
        i,
        transform: Matrix4.translationValues(x, y, 0),
      );
    }
  }

  @override
  bool shouldRepaint(covariant FlowMenuDelegate oldDelegate) {
    return controller != oldDelegate.controller;
  }
}
  • xStartとyStartは、メインのFAB(メニューボタン)が配置される初期位置を示します。これは画面の中央の下部です。floatingActionButtonLocationを使ってもいい場所に設定してくれないので、計算して出してます。
  • ループ内で、各ウィジェットに対して位置を計算しています。
  • dxとdyは、メインのFABからの相対位置を計算します。これは極座標を直交座標に変換することで計算され、アニメーションの進行度(controller.value)に応じて調整されます。ただ、1つ目のメニューのボタンは同じ位置になるようにしています。
  • xとyは、最終的な描画位置を計算します。
    ー context.paintChildメソッドを使用して、計算された位置に子ウィジェットを描画します。