対象者
- Flutterを使用してモバイルアプリケーションの開発に携わっている方
- UIのユーザーエクスペリエンスを向上させたいと考えている方
- 新しい技術を学び、キャリアアップを目指している開発者の方
はじめに
FlutterのScaffoldMessenger
ウィジェットは、アプリケーション全体でSnackBar
など一時的なウィジェットを表示します。これにより、画面遷移があってもメッセージが保持されるなど、以前のScaffold
に依存した方法よりも柔軟なメッセージングが可能になります。また、ScaffoldMessageで例外が発生して、スナックバーが表示されない時の対応法も記載します。
ScaffoldMessengerの基本
ScaffoldMessengerとは何か?
ScaffoldMessengerは、Flutterアプリケーションにおいて、SnackBarやMaterial Bannerなどの通知を管理するためのウィジェットです。これは画面遷移があっても通知を維持することができる非常に便利な機能を提供します。
ScaffoldMessengerは全てのScaffoldウィジェットがSnackBarイベントを受け取るために登録するスコープを作成します。これにより、ユーザーが新しい画面に遷移した後も、SnackBarメッセージが表示され続けることが可能になります。
ScaffoldMessengerの使い方
SnackBarの表示方法
ScaffoldMessengerを使用してSnackBarを表示する方法は、Flutter開発の中で非常に一般的なタスクです。ScaffoldMessenger.of(context).showSnackBarメソッドを呼び出すことで、簡単にSnackBarを表示できます。
ユーザーがアクションを完了した際にフィードバックを提供するために以下のようなコードが使用されます。
ScaffoldMessenger.of(context).showSnackBar(
SnackBar(content: Text('アクションが成功しました'))
);
このコードは、ユーザーが何らかのアクションを成功させたことを通知するためにSnackBarを表示する典型的な例です。SnackBarの表示方法は、ユーザーに対して直感的でタイムリーなフィードバックを提供するための効果的な手段です。
SnackBarのカスタマイズ
SnackBarのカスタマイズは、アプリケーションのブランディングとユーザー体験を向上させるために重要です。FlutterではSnackBarの外観や挙動を簡単にカスタマイズできます。これは、SnackBarのAPIが様々なカスタマイズオプションを提供しているためです。詳しい使い方は、以下の記事をご参照ください。
FlutterでのScaffoldMessenger
の使用と、SnackBar
が表示されない問題の解決方法について、以下のようにまとめることができます。
ScaffoldMessengerが使えないとき
ScaffoldMessengerとSnackBarの表示
FlutterのScaffoldMessenger
ウィジェットは、アプリケーション内のSnackBar
メッセージを管理するために使用されます。これは、画面遷移があった場合でもSnackBar
が継続して表示されるようにするためのものです。しかし、Navigator.pop
を使用して画面遷移を行った後にSnackBar
を表示しようとすると、Looking up a deactivated widget's ancestor is unsafe.
というエラーが発生することがあります。これは、BuildContext
がもはや有効でないため、SnackBar
を表示しようとした際に参照できるScaffold
が存在しないことを意味します。
問題の理由
この問題は、Navigator.pop
が実行された後、BuildContext
が古くなっている(すでに画面が非アクティブになっている)ために発生します。ScaffoldMessenger.of(context)
を呼び出すと、Flutterは現在のBuildContext
に関連付けられているScaffold
を探しますが、その時点でBuildContext
はもはや有効ではないため、Scaffold
を見つけることができず、エラーが発生します。
解決方法
この問題を解決するためには、GlobalKey<ScaffoldMessengerState>
を使用してScaffoldMessenger
に直接アクセスする方法があります。GlobalKey
を使用すると、BuildContext
に依存せずにScaffoldMessenger
のcurrentState
を取得し、SnackBar
を表示することができます。
以下は、GlobalKey
を使用してSnackBar
を表示する方法のサンプルコードです。
final GlobalKey<ScaffoldMessengerState> scaffoldMessengerKey = GlobalKey<ScaffoldMessengerState>();
// ...
ScaffoldMessenger(
key: scaffoldMessengerKey,
child: Scaffold(
// ...
),
);
// ...
// 画面遷移後にSnackBarを表示
SnackBar snackBar = SnackBar(
content: Text('画面遷移中'),
);
scaffoldMessengerKey.currentState?.showSnackBar(snackBar);
この方法を使用することで、画面遷移後も安全にSnackBar
を表示することができます。また、ScaffoldMessenger
のkey
を設定することで、どのScaffold
がSnackBar
を受け取るかを制御することも可能になります。これにより、画面遷移があった後でもSnackBar
を表示することができ、Looking up a deactivated widget's ancestor is unsafe.
というエラーを回避することができます。
エラー詳細
[ERROR:flutter/runtime/dart_vm_initializer.cc(41)] Unhandled Exception: Looking up a deactivated widget's ancestor is unsafe.
E/flutter ( 5027): At this point the state of the widget's element tree is no longer stable.
E/flutter ( 5027): To safely refer to a widget's ancestor in its dispose() method, save a reference to the ancestor by calling dependOnInheritedWidgetOfExactType() in the widget's didChangeDependencies() method.
Q&A
Q1: ScaffoldMessengerとは具体的にどのようなウィジェットですか?
A1: ScaffoldMessengerはFlutterのウィジェットで、SnackBarやBottomSheetなどの一時的なUI要素をアプリケーション全体で管理するために使用されます。これにより、画面遷移があってもメッセージが維持されるなど、ユーザーに一貫した体験を提供することができます。
Q2: ScaffoldMessengerでよくあるエラーとその解決策は何ですか?
A2: よくあるエラーの一つに、不適切なコンテキストを使用してSnackBarを表示しようとした場合があります。これは、ScaffoldMessenger.of(context)を呼び出す際に、ScaffoldMessengerのスコープ外のコンテキストを使用していることが原因です。正しいコンテキストで使用するか、ScaffoldMessengerStateを使用する方法を検討してください。
Q3: ScaffoldMessagerを使用しないでスナックバーをどうやって出しますか
ScaffoldMessengerStateを使用した方法があります。
かつてはScaffold.of(context).showSnackBar(snackBar)がありましたが、消えたなぁ、、
まとめ
FlutterのScaffoldMessengerウィジェットについて学び、その基本から応用、トラブルシューティングまで理解しました。
参考
ソース(main.dartにコピペして動作確認用)
import 'package:flutter/material.dart';
void main() {
runApp(MyApp());
}
class MyApp extends StatelessWidget {
// GlobalKeyを作成します。これを使用してScaffoldMessengerにアクセスします。
final GlobalKey<ScaffoldMessengerState> scaffoldMessengerKey =
GlobalKey<ScaffoldMessengerState>();
@override
Widget build(BuildContext context) {
return MaterialApp(
title: 'Flutter Demo',
scaffoldMessengerKey:
scaffoldMessengerKey, // MaterialAppにGlobalKeyを設定します。
theme: ThemeData(useMaterial3: true),
home: MyHomePage(scaffoldMessengerKey: scaffoldMessengerKey),
);
}
}
class MyHomePage extends StatelessWidget {
final GlobalKey<ScaffoldMessengerState> scaffoldMessengerKey;
MyHomePage({required this.scaffoldMessengerKey});
void _navigateToNextPage(BuildContext context) {
Navigator.of(context).push(MaterialPageRoute(
builder: (context) => NextPage(scaffoldMessengerKey)));
}
final _snackBar = SnackBar(content: Text('次の画面に遷移中'));
@override
Widget build(BuildContext context) {
return Scaffold(
appBar: AppBar(
title: Text('ScaffoldMessenger Demo'),
),
body: Center(
child: Column(
children: [
FilledButton(
onPressed: () {
ScaffoldMessenger.of(context).showSnackBar(_snackBar);
Future.delayed(
Duration(seconds: 1), () => _navigateToNextPage(context));
},
child: Text('ScaffoldMessenger'),
),
FilledButton(
onPressed: () {
scaffoldMessengerKey.currentState?.showSnackBar(_snackBar);
Future.delayed(
Duration(seconds: 1), () => _navigateToNextPage(context));
},
child: Text('ScaffoldMessengerState'),
),
],
),
),
);
}
}
class NextPage extends StatelessWidget {
final _snackBar = SnackBar(content: Text('前の画面に遷移中'));
final GlobalKey<ScaffoldMessengerState> scaffoldMessengerKey;
NextPage(this.scaffoldMessengerKey);
@override
Widget build(BuildContext context) {
return Scaffold(
appBar: AppBar(
title: Text('Next Page'),
),
body: Center(
child: Column(
children: [
Text('Welcome to the next page!'),
FilledButton(
onPressed: () {
Navigator.of(context).pop();
Future.delayed(
Duration(seconds: 1),
// 例外が発生する
() => ScaffoldMessenger.of(context)
.showSnackBar(_snackBar));
},
child: Text('back with ScaffoldMessenger(エラー発生)')),
FilledButton(
onPressed: () {
Navigator.of(context).pop();
Future.delayed(
Duration(seconds: 1),
() => scaffoldMessengerKey.currentState
?.showSnackBar(_snackBar));
},
child: Text('back with scaffoldMessengerKey')),
],
),
),
);
}
}
ScaffoldMessengerの利用
上記のソースコードでは、ScaffoldMessenger
を使用してSnackBar
を表示する基本的な方法を示しています。MyHomePage
クラス内で、FilledButton
ウィジェットのonPressed
コールバックにて、ScaffoldMessenger.of(context).showSnackBar(_snackBar)
を呼び出すことで、SnackBar
を表示しています。これは、現在のBuildContext
に関連付けられた最も近いScaffoldMessenger
を見つけ出し、その上でSnackBar
を表示する標準的な方法です。
GlobalKeyの利用
一方で、GlobalKey<ScaffoldMessengerState>
を使用する方法もあります。これは、ScaffoldMessenger
に一意のグローバルキーを割り当てることで、アプリケーションのどの部分からでも同じScaffoldMessenger
にアクセスできるようにするものです。MyApp
クラスでGlobalKey
を作成し、MaterialApp
のScaffoldMessengerKey
プロパティに設定しています。これにより、ScaffoldMessenger
の状態をアプリケーション全体で共有できるようになります。
画面遷移とSnackBarの表示
NextPage
クラスでは、画面遷移後にSnackBar
を表示するために、GlobalKey
を使用しています。Navigator.of(context).pop()
を呼び出した後、Future.delayed
を使用して遅延を設け、その後でGlobalKey
を介してSnackBar
を表示しています。これは、画面遷移が完了してからSnackBar
を表示するために必要です。BuildContext
が古くなることを防ぐために、GlobalKey
を使用して直接ScaffoldMessenger
にアクセスしています。
エラーの回避
NextPage
クラスの最初のボタンでは、Navigator.of(context).pop()
の後にScaffoldMessenger.of(context)
を使用してSnackBar
を表示しようとしていますが、これはエラーを引き起こします。これは、pop()
が呼び出された後、context
がもはや有効でないためです。GlobalKey
を使用することで、この問題を回避し、安全にSnackBar
を表示することができます。