【Flutter】Sliderで値選択を簡単にする方法

対象者

  • FlutterのSlider Widgetについて基本的な知識を持っているが、より深く理解したいと考えている方
    -Slider Widgetのカスタマイズ方法について学びたいと思っている方
  • Flutterを使ったアプリケーションのユーザーエクスペリエンスを向上させる方法を探している方

はじめに

Sliderというのは、日本語で「スライダー」という意味です。プログラムの世界では一般的に「値を滑らせることで選択するUI要素」を示します。

Flutterにおいては、ユーザーが範囲内の特定の値を選択するための Widgetです。そのため、ユーザーが直感的に値を調整することができます。
実際のアプリとしては、音量調整や明るさ調整などといったケースにSliderを使用して、ユーザーが直感的に値を調整するというような機能を実現することができます。

Sliderの基本

Sliderの作成と使用方法

Sliderは、ユーザーが値を選択するための便利なツールで、Flutterでは簡単に作成できます。Sliderの作成と使用方法は非常に直感的で、初心者でもすぐに理解できます。以下に、基本的なSliderの作成方法を示します。

Slider(
  value: _currentValue,
  min: 0,
  max: 100,
  onChanged: (double value) {
    setState(() {
      _currentValue = value;
    });
  },
)

このコードは、0から100までの値を持つSliderを作成します。_currentValueはSliderの現在の値を保持し、ユーザーがSliderを動かすとonChangedコールバックが呼び出され、Sliderの値が更新されます。

連続的な値と離散的な値の選択

Sliderは、連続的な値と離散的な値の両方を扱うことができます。連続的な値は、Sliderが移動するときに滑らかに変化する値で、デフォルトの動作です。一方、離散的な値は、特定の間隔でのみ値が変化するようにSliderを設定することで得られます。これは、divisionsプロパティを設定することで実現できます。

Slider(
  value: _currentValue,
  min: 0,
  max: 100,
  divisions: 5,
  onChanged: (double value) {
    setState(() {
      _currentValue = value;
    });
  },
)

このコードは、0から100までの値を5つの離散的な間隔に分けたSliderを作成します。このSliderは、0、20、40、60、80、100の値のみを取ることができます。

Sliderは、ユーザーがアプリケーションと対話するための強力なツールであり、その作成とカスタマイズはフラッターで非常に簡単です。連続的な値と離散的な値の選択は、Sliderの柔軟性をさらに高め、さまざまなユースケースに対応することができます。

Sliderのカスタマイズ

Sliderの色と形状のカスタマイズ

Sliderは、色や形状をカスタマイズすることで、アプリケーションのテーマやブランドに合わせて視覚的に調整することができます。これにより、ユーザー体験が一貫性を持ち、アプリケーション全体が統一感を持つことができます。

Sliderの色はactiveColorinactiveColorの2つのプロパティを使用して設定できます。activeColorはSliderの現在の値を示す部分の色を、inactiveColorはそれ以外の部分の色を設定します。以下に、これらのプロパティを使用してSliderの色をカスタマイズする例を示します。

Slider(
  value: _currentValue,
  min: 0,
  max: 100,
  activeColor: Colors.red,
  inactiveColor: Colors.grey,
  onChanged: (double value) {
    setState(() {
      _currentValue = value;
    });
  },
)

このコードは、現在の値を赤色で、それ以外の部分を灰色で表示するSliderを作成します。

また、Sliderの形状もカスタマイズすることができます。これはSliderThemeを使用して行います。以下に、Sliderのサム(つまみ)の形状をカスタマイズする例を示します。

SliderTheme(
  data: SliderThemeData(
    thumbShape: RoundSliderThumbShape(enabledThumbRadius: 15),
  ),
  child: Slider(
    value: _currentValue,
    min: 0,
    max: 100,
    onChanged: (double value) {
      setState(() {
        _currentValue = value;
      });
    },
  ),
)

このコードは、半径が15ピクセルの丸いサムを持つSliderを作成します。

Sliderのステータスの取得と使用

Sliderのステータスは、onChangeStartonChangeEnd、およびonChangedの3つのコールバックを使用して取得できます。これらのコールバックは、Sliderがドラッグされ始めたとき、ドラッグが終了したとき、およびドラッグ中に呼び出されます。これにより、Sliderの現在のステータスに応じて他のUIコンポーネントを更新するなど、より詳細な制御が可能になります。

Sliderの高度なカスタマイズ

CustomPainterを使用したデザインの作成

FlutterのSliderは、高度なカスタマイズを可能にするツールを提供しています。これにより、アプリケーションのテーマやブランドに完全に合わせた独自のSliderを作成することができます。

CustomPainterは、Sliderの各部分(ティックマーカー、Sliderサム、Sliderトラックなど)のデザインを完全に制御するための強力なツールです。これにより、Sliderに独自の外観を与えることができます。以下に、CustomPainterを使用してSliderのティックマーカーをカスタマイズする例を示します。

class MyTickMarkPainter extends SliderTickMarkShape {
  final double tickSize;

  MyTickMarkPainter({this.tickSize = 10.0});

  @override
  Size getPreferredSize({SliderThemeData sliderTheme, bool isEnabled}) {
    return Size.fromRadius(tickSize);
  }

  @override
  void paint(PaintingContext context, Offset center,
      {required RenderBox parentBox,
      required SliderThemeData sliderTheme,
      required Animation<double> enableAnimation,
      required Offset thumbCenter,
      required bool isEnabled,
      required TextDirection textDirection}) {
    final Canvas canvas = context.canvas;
    final paint = Paint()..color = Colors.red;
    canvas.drawCircle(center, tickSize, paint);
  }
}

このコードは、半径が10ピクセルの赤いティックマーカーを持つSliderを作成します。

SliderThemeを使用したカスタマイズ

SliderThemeは、Sliderの各アスペクトを指定するためのさまざまなプロパティを提供します。これにより、Sliderの外観を細かく調整することができます。以下に、SliderThemeを使用してSliderのサムとトラックの色をカスタマイズする例を示します。

SliderTheme(
  data: SliderThemeData(
    thumbColor: Colors.red,
    activeTrackColor: Colors.redAccent,
    inactiveTrackColor: Colors.red[100],
  ),
  child: Slider(
    value: _currentValue,
    min: 0,
    max: 100,
    onChanged: (double value) {
      setState(() {
        _currentValue = value;
      });
    },
  ),
)

このコードは、赤色のサムとアクティブトラック、および淡い赤色の非アクティブトラックを持つSliderを作成します。

Sliderの応用

Sliderは、音量調整、明るさ調整、ズームレベルの設定など、ユーザーが特定の範囲から値を選択する必要がある場合によく使用されます。また、Sliderは、ユーザーが特定の範囲から値を選択する必要がある場合によく使用されます。

また、Sliderは、データの視覚化にも使用できます。たとえば、時間の経過とともに変化するデータセットを表示するための時間軸Sliderを作成することができます。これにより、ユーザーは特定の時間点でのデータを簡単に確認することができます。

Q&A

Q1: FlutterのSlider Widgetの基本的な作成と使用方法は何ですか?

A1: Slider Widgetは、Sliderクラスを使用して作成します。最小値、最大値、現在の値を指定し、onChangedコールバックを使用してSliderの値が変更されたときの動作を定義します。

Q2: Sliderの色や形状をカスタマイズするにはどうすればいいですか?

A2: Sliderの色や形状は、SliderThemeを使用してカスタマイズできます。SliderThemeDataを使用して、Sliderのさまざまな視覚的な特性を定義します。

Q3: Sliderの実用的な使用例とは何ですか?

A3: Sliderは、音量調整、明るさ調整、ズームレベルの設定など、ユーザーが特定の範囲から値を選択する必要がある場合によく使用されます。また、Sliderは、データの視覚化やカスタムの視覚効果を作成するためにも使用できます。

FlutterのSlider Widgetは、ユーザーが連続的または離散的な値の範囲から選択できる強力なツールです。Sliderの基本的な作成と使用方法を学び、連続的な値と離散的な値の選択の違いを理解しました。また、Sliderの色や形状をカスタマイズする方法、Sliderのステータスを取得して使用する方法も学びました。

参考

ソース(main.dartにコピペして動作確認用)

import 'package:flutter/material.dart';

void main() {
  runApp(MyApp());
}

class MyApp extends StatelessWidget {
  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return MaterialApp(
      home: Scaffold(
        appBar: AppBar(
          title: Text('Flutter Slider Example'),
        ),
        body: SliderWidget(),
      ),
    );
  }
}

class SliderWidget extends StatefulWidget {
  @override
  _SliderWidgetState createState() => _SliderWidgetState();
}

class _SliderWidgetState extends State<SliderWidget> {
  double _value = 50;
  double _value2 = 50;

  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return Column(
      children: [
        SliderTheme(
          data: SliderThemeData(
            activeTrackColor: Colors.red[700],
            inactiveTrackColor: Colors.red[100],
            trackShape: RectangularSliderTrackShape(),
            trackHeight: 4.0,
            thumbColor: Colors.redAccent,
            thumbShape: RoundSliderThumbShape(enabledThumbRadius: 12.0),
            overlayColor: Colors.red.withAlpha(32),
            overlayShape: RoundSliderOverlayShape(overlayRadius: 28.0),
          ),
          child: Slider(
            value: _value,
            min: 0,
            max: 100,
            divisions: 100,
            label: _value.round().toString(),
            onChanged: (value) {
              setState(() {
                _value = value;
              });
            },
          ),
        ),
        SliderTheme(
          data: SliderTheme.of(context)
              .copyWith(trackHeight: 20, tickMarkShape: MyTickMarkPainter()),
          child: Slider(
            value: _value2,
            min: 0,
            max: 100,
            divisions: 100,
            onChanged: (value) {
              setState(() {
                _value2 = value;
              });
            },
          ),
        ),
      ],
    );
  }
}

class MyTickMarkPainter extends SliderTickMarkShape {
  final double tickSize;

  MyTickMarkPainter({this.tickSize = 10.0});

  @override
  Size getPreferredSize(
      {required SliderThemeData sliderTheme, required bool isEnabled}) {
    return Size.fromRadius(tickSize);
  }

  @override
  void paint(PaintingContext context, Offset center,
      {required RenderBox parentBox,
      required SliderThemeData sliderTheme,
      required Animation<double> enableAnimation,
      required Offset thumbCenter,
      required bool isEnabled,
      required TextDirection textDirection}) {
    final Canvas canvas = context.canvas;
    final paint = Paint()..color = Colors.red;
    canvas.drawCircle(center, tickSize, paint);
  }
}